女性特有の悪性腫瘍のなかで罹患率が高いのは子宮体がんと乳がん、また死亡率が高いのは卵巣がんです。がんの早期発見及び治療の時期は予後を大きく左右しますので、たとえ症状がなくても定期的に婦人科検診を受けることがとても大切です。
◇◇◇◇◇◇ 婦人科がん ◇◇◇◇◇◇
【子宮頸がん】
子宮頸がんの原因はヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスで、これは性交渉などにより感染します。性交渉の経験があればHPV感染の可能性があります。HPVががん化するまでには平均約10年で、子宮頸がんの罹患率がもっとも高い年齢は30~40歳代と言われています。しかし近年では低年齢化がみられますので、年齢にかかわらず年に1回の定期検診を受診することをおすすめします。簡単な細胞診で早期発見する事が出来ますが、HPV ウイルス検査を併用すると、早期発見率が上がります。
【子宮内膜がん(子宮体がん)】
女性ホルモンの影響と大きく関係するがんで、罹患率がもっとも高いのは50歳代です。多のう胞卵巣症候群など無排卵の若い女性でも、このがんに罹ります。経膣エコー検査による子宮内膜の状態をチェックし、子宮内膜の異常を発見できます。
【卵巣がん】
発病の原因は明らかになっておらず、30~60歳代まで幅広い年齢層にみられます。初期症状がなく、進行してから見つかることが多いため、経過はよくありません。エコー検査や腫瘍マーカーチェックを受け、卵巣の異常に注意することが必要です。
◇◇◇ 当院の婦人科検診ご紹介 ◇◇◇
① 医師による診察
問診票をもとに、外陰部、膣内および子宮頸部炎症などの異常やおりものの状態をチェックした後、膣内外から触診で子宮および付属器の位置や形、腫瘍の有無を調べます。
② おりもの(帯下)検査
膣内の分泌物を採取し、カンジダ膣炎やトリコモナス膣炎を調べます。
③ 子宮頸部細胞診・HPV検査
子宮入り口にある子宮頸部を綿棒のような専用器具でこすり、細胞を採取します。これは痛みもなく一瞬で終わります。(当院ではHPV検査はオプション検査となります)
④ 経膣超音波検査
膣内にプローブという細長い探触子を入れ、子宮筋腫や卵巣腫瘍、子宮内膜症、子宮内膜ポリープなどの有無を調べます。
※ 受診されるコースにより、検診内容に含まれない項目もございます。
◇◇◇◇◇◇ 終わりに ◇◇◇◇◇◇
女性にとって婦人科の検診は抵抗があるものですが、異常をいち早く見つけることで早期の治療が可能になります。年に1回は必ず検診を受けるようにしましょう。また、子宮体がん、卵巣がんなどの早期発見のためにも子宮頸部細胞診のみならず、超音波検査も同時にスクリーニングとして受けることをおすすめします。女性ならではのお体の不調やお悩みがありましたらいつでもご相談ください。
乳がん検診についてはこちらを参照ください。
https://www.greenclinic.com.cn/latest-news/202210mmg/
高英 (産婦人科専門医)
南京医科大学医学部卒業
東京医科歯科大学大学院医学研究科博士課程修了
復旦大学付属産婦人科病院副主任医師・外来部長を経て上海グリーンクリニック勤務。
月経異常、不妊症、子宮内膜症、更年期障害、婦人科炎症等の診療経験に富む。