皮膚科専門医のあれこれ話|vol.2 ニキビは早期治療が重要2025年2月
皮膚科松本高明

 

ニキビは毛孔のわきにある皮脂を分泌する部位に発症し、皮脂の分泌増加、毛孔の詰まり、細菌(特にアクネ菌)の増殖が複雑に関与する慢性炎症性疾患です。思春期以降に皮脂の分泌が盛んな額や頬部、胸背部などに好発し、日本では90%以上の人が経験する症状であることから、生理的現象として軽視され、皮膚疾患としての認識が十分ではありませんでした。

一方で、ごく軽症であっても瘢痕を残すことがあるため、生活の質(Quality of Life : QOL)と密接に関係する疾患であると言えます。早期の治療で瘢痕形成を予防できることから、できてしまったニキビには早期の治療が、炎症が軽快した後には良い状態を保つ維持療法が重要となります。

《ニキビの発症機序》
発症には男女ともに男性ホルモンがつよく影響します。思春期以降は性ホルモンの分泌が活発になり皮脂の分泌が増加します。

《ニキビの始まり》
毛孔の出入り口が閉塞し、毛包内に皮脂が貯まり始めた状態(微小面皰(びしょうめんぽう):マイクロコメド)です。一見症状はないようですが、ニキビはこの状態からすでに始まっています。

 

炎症のないニキビ》
さらに皮脂が貯まることで毛孔が盛り上がり、目に見える状態となったのが面皰(コメド)です。アクネ菌は健常皮膚にも存在する常在菌ですが、皮脂を好み、酸素の少ない環境で増殖しやすいため、閉鎖的な面皰のなかで増殖します。


《炎症を生じたニキビ》
毛包内でアクネ菌が盛んに増殖しています。アクネ菌は炎症を起こす物質を呼び寄せるため、炎症が起きて赤くなります。炎症が周囲にまで広がると、膿を伴うようになります。さらに炎症が進むと、毛包の壁が破壊されて内容物が周辺組織に漏れ出して嚢腫ができたり、硬く盛り上がる硬結をつくることがあります。

《炎症後の赤み・ニキビあと》
炎症後の赤みは時間が経つと消えるとされていますが、嚢腫や硬結などつよい炎症を伴うニキビが軽快した後のでこぼことしたニキビあとは治療が難しくなります。


近年、さまざまなニキビ治療薬が開発されており、当院でも可能なかぎり積極的に採り入れながら患者様ひとりひとりに適した治療を提供しています。また、外用薬の使い方や塗り方、日常生活での注意点などもパンフレット等を用いて丁寧に指導します。急性炎症期の治療は最大3ヶ月を目安に維持期の治療へ移行します。

まずは3ヶ月を目標に新しいニキビができるのを抑える治療を続けましょう。

🔵過酸化ベンゾイル🔵
ニキビの原因となるアクネ菌やブドウ球菌に殺菌的に作用します。また毛包漏斗部の角質細胞の結合をゆるめることで剥離を促し毛孔の閉塞を改善します。

🔵アダパレン🔵
レチノイドと類似した構造を持ち、毛包漏斗部の角質細胞の分化抑制や剥離作用により毛孔の閉塞を改善します。また、レチノイドと類似した作用により肌のキメを整え毛孔を目立たなくするなどの美肌効果も期待できます。
※ 妊娠中、授乳中の方は使用できません。

🔴低用量ピル🔴
女性ホルモンの錠剤です。本来の作用は経口避妊薬です。
低用量ピルに含まれるエストロゲンが性ホルモンと結合するタンパク質(SHBG)を増加させます。このSHBGが男性ホルモン(テストステロン)と結合することで血液中のテストステロンが減少しニキビの症状を改善します。

🔴イソトレチノイン🔴
ビタミンA誘導体を含む内服薬です。
皮脂の分泌を抑える作用、アクネ菌に対する抗菌作用、抗炎症効果に優れているため、特に重症のニキビに対して効果があります。

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