超音波検査は、人の耳では聞こえない周波数の(超)音波を利用して、体の中にある異常をみつけることを目的としています。
海の底にいる魚を探す魚群探知機と同じです🐟🐡🐠
体に押し当てられるプローブという音波発生装置から体へ送信され、組織で跳ね返るエコーを映像化したものです。海水と魚の音波に対する反射(こだま)が異なることを利用しているのです。
よく行われる検査として、妊婦健診や健康診断でお腹のエコー検査を経験された方も多いのではないでしょうか。動きがリアルタイムに見えること、放射線被ばくがないことが、CTやレントゲン検査にない利点となります。
腹部エコー画像(出典:FUJIFILM)
では、心臓エコーと肝臓や腎臓をみる腹部エコーとの違いはなんでしょうか。
それは、腹部臓器が静止しているのに対し、心臓は1秒に1回収縮、拡張を繰り返す動的臓器であることがポイントです。心臓の拍出量や、弁や筋肉の動きを観察することが大きな違いになります。パソコンで動画を見るとき、ある程度のスペックがないと映画を楽しめません。それと同様、心臓エコーは高精細な画質や動画処理能力が必要となるため、エコー機の中でもハイエンド機種に近いものが好まれます。
また、検査対象者も異なります。
腹部エコーは、健康診断で行われ、一見健康そうな方でも対象になります。それだけ、脂肪肝や腎結石などの方が多く見つかるので、検査を行うだけの意義があります。
心臓エコー画像(出典:FUJIFILM)
一方、心臓エコーは、①問診、②診察、③心電図で異常を認めた場合に、精密検査として行うことが大半です。
具体的な適応としては、①問診で、胸痛や動悸、心臓疾患の家族歴がある方などです。心臓の一部に動きの悪化を見つけることで、冠動脈(栄養血管)の狭窄を疑ったり、心機能異常がないかを確認します。
②診察で、心雑音を認める方(受診者の1%の方)が良い適応です。心臓弁の逆流や狭窄、先天的な構造異常の有無をみます。
③健康診断の心電図検査がきっかけでエコーを行う方もいます。厚生省のデータでは、健康診断において、受検者の10%の方が何らかの所見があるそうです。大半の方は、エコー適応のないB判定(ほぼ正常)ですが、D判定と記載された、虚血疑い、心房細動などの不整脈、心室肥大所見などが対象として挙げられます。
当院では、半年前に中国で販売許可されたばかりのFUJIFILM社製の最新鋭機器(ARIETTA750SE)を導入し、日本と同様の検査をお受けいただけるようになりました。
ARIETTA750SE(出典:FUJIFILM)
胸の気になる症状がある方や心電図異常を指摘された方は、ぜひお気軽にご相談ください。