日本と比べ、中国ではAEDの設置台数が大変少ないです。
現在、国を挙げたAEDの増設が進んでいますが、それでも上海市常住人口1万人あたり約1台という設置率にとどまっています。*1)
上海グリーンクリニックは日系クリニックとして、患者様や周辺地域の皆様の「もしも」の場合に備え、この度AED(自動体外式除細動器)を院内に設置しました。
【院内に入って右側の壁にAED設置】
当院医科入口から院内に入って右側の壁に設置しております。
【AED設置シール】
🔶AEDとは🔶
AEDとは「Automated External Defibrillator」の略で、停止した心臓に電気ショックを与え、心臓の動きを元に戻す医療機器です。
日本語では「自動体外式除細動器」、中国語では「自动体外除颤仪」と呼ばれます。
「蘇生のチャンスは1分ごとに7~10%低下する」*2)といわれています。
しかしながら、救急に電話をかけてから救急車が現場に到着するまでにかかる時間は、日本では全国平均で約 10.3 分*3)、上海市では平均12分以内*4)ともいわれており、一刻も早くAEDを使用し救命活動を行うことは生存率の向上につながります。
🔶心肺蘇生とAED使用の流れ🔶
画像出典:上海セコム
AEDは音声指示に従って操作ができ、傷病者への電気ショックの必要性もAEDが判断するので、医療従事者以外の一般の方々にもご使用いただけます。また、当院に設置したAEDは中国語と日本語のバイリンガル設定にしているので、AEDを作動させると両方の言語で順に指示が流れます。そのため、中国語が分からない場合でも安心してご使用いただけます。
【救命時の心肺蘇生とAED使用の流れは以下の通りです】
1⃣周囲の安全確認
救助に安全な場所かどうか確認します。
2⃣反応の確認
傷病者の両肩を軽く叩きながら声をかけ、反応の有無を確かめます。
3⃣応援を呼ぶ
周囲の方に救急への通報(中国では120番にかけます)を依頼し、AEDを探し持って来てもらいます。
4⃣呼吸の確認
傷病者の胸と腹部の動きを見て呼吸の有無を確認します。
5⃣胸骨圧迫と人工呼吸を行う
交互に行いますが、人工呼吸は可能な場合、行います。
6⃣AEDの操作
近くに人がいない状態を確保し、AEDの電源を入れ、音声指示に従い操作します。
心停止の救命は一刻を争います。
上海グリーンクリニックでは、AEDの設置を通じて救護体制を整え、迅速な救命活動の実施による救命率の向上と、地域の皆様に貢献することを目指しています。
出典:
*1)黄浦区衛生健康委員会 黄衛発〔2022〕8号
*2)上海セコム
*3) 総務省『令和5年版 救急・救助の現況』
*4)「上海市医療急救中心」公式HP(2023年11月15日)